離婚と親族名義の家問題|知らないと損する住居トラブルと対策

はじめに
離婚問題を抱える中で、住んでいる「家」に関するトラブルは非常に多く発生します。
特にやっかいなのが、「親族名義の家」に住んでいた場合です。
自分たち夫婦名義ではなく、例えば夫の親名義だった場合、そもそも財産分与の対象にならず、離婚後の居住が認められないケースも少なくありません。
この記事では、親族名義の家に関する離婚時のトラブルと、その具体的な対策を詳しく解説します。
親族名義の家とは?まず押さえておきたい基本
離婚時の不動産トラブルというと、多くの人は「共有名義の家」や「住宅ローン残債のある持ち家」の話を思い浮かべます。
しかし、次のようなケースは少なくありません。
- 現在住んでいる家は夫の親が所有している
- 書類上は義父・義母の名義になっている
- 自分たちは「無償で借りている」状態だった
この場合、家はそもそも夫婦の財産ではないため、財産分与の対象外となります。
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つまり、離婚しても「分けることができない資産」であり、親族側の意向で立ち退きを求められる可能性もあるのです。
離婚時に起きやすい具体的なトラブル
親族名義の家で離婚を迎えると、次のような問題が頻発します。
1. 立ち退きを要求される
義理の親から、「離婚するならこの家を出て行ってほしい」と言われるケースは非常に多いです。
たとえ長年住んでいたとしても、所有権は義理親側にあるため、住み続ける権利は原則ありません。
2. 立ち退き料の問題
突然退去を迫られた場合、引越し費用や生活再建資金が必要になります。
しかし、親族から立ち退き料が支払われる保証はありません。
トラブルが悪化すると、法的な立ち退き請求(訴訟)に発展するケースもあります。
3. 居住権を主張できない場合が多い
近年、「配偶者居住権」という制度が注目されていますが、これは夫婦共有財産の場合に成立する話です。
親族名義の家に対しては、基本的にこの居住権は認められにくいと考えるべきです。
トラブルを防ぐためにできること
離婚を進める際に、親族名義の家で起こり得る問題を最小限に抑えるためには、次の対策が有効です。
1. 賃貸借契約を結んでおく
もし離婚前から住み続ける必要がある場合は、親族と正式な賃貸借契約を締結することが有効です。
賃貸借契約があれば、大家と借主という関係が成立し、簡単に立ち退きを迫られるリスクを減らせます。
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2. 和解書・覚書を作成する
離婚協議の中で、住居に関する合意内容を和解書や覚書として明文化しておくのも一つの方法です。
例えば、「離婚後○年間は無償で居住を認める」など、具体的な取り決めをしておけば後のトラブル防止になります。
3. 早めの住み替え計画を立てる
長期的に見れば、親族名義の家にこだわり続けるよりも、早期に新居を探すほうが精神的にも経済的にも安定します。
離婚が視野に入った時点で、賃貸物件のリサーチや引越し資金の準備を始めることが重要です。
親族名義問題がさらに複雑になるケース
次のようなケースでは、さらに注意が必要です。
- 義理親から事実上の「贈与」が行われていた
- 夫が親族から購入していたが登記名義変更をしていなかった
- リフォーム費用を夫婦で負担していた
こうした場合は、場合によっては共有持分の主張ができる可能性もありますが、かなり専門的な法律相談が必要になります。
離婚弁護士や不動産専門家に早めに相談を
親族名義の家問題は、非常にナイーブでかつ感情的な対立を生みやすい分野です。
- 離婚協議書に住居関連の取り決めをしっかり盛り込む
- 親族との交渉を第三者に依頼する
- 必要に応じて調停や訴訟も視野に入れる
これらを適切に進めるためには、離婚問題に詳しい弁護士や、不動産分野に明るい専門家の力を借りることが不可欠です。
まとめ
「親族名義の家」に住んでいる場合、離婚に際しては次の点を特に意識しましょう。
- そもそも財産分与の対象外である
- 住み続けられる保証はない
- 立ち退き要求やトラブルが起こりやすい
- 賃貸借契約や和解書でリスク軽減を図る
- 早期に住み替えを検討する
知らなかった、準備していなかった、では済まされない問題です。
後悔しないためにも、早めの行動を心がけましょう。