離婚後も家に元配偶者の荷物が残っている…勝手に処分・売却していいの?
離婚後、家に元配偶者の荷物が残っている…

離婚後、元夫(または元妻)が家を出て行ったにも関わらず、家具・衣類・電化製品・書類などの私物がそのまま放置されているというケースは非常に多くあります。
「早く片づけてくれないかな…」「もういらないんじゃないの?」「勝手に捨てちゃってもいい?」という気持ちはよくわかります。
しかし、残された荷物には法律上の“所有権”があるため、安易に処分してしまうと逆にトラブルに発展するリスクがあります。
勝手に荷物を処分するとどうなる?
残された荷物があるからといって、許可なく処分したり、捨てたりするのは非常に危険です。
なぜなら、それは所有者(元配偶者)の財産であるため、以下のような問題が発生する可能性があるからです。
- 器物損壊罪(刑法第261条)に該当する可能性
- 不法行為による損害賠償請求(民法第709条)
- 慰謝料や損害賠償請求として訴えられるリスク
例えば、高価なブランド品や思い出の品などを勝手に捨てたとされた場合、金銭的な損害賠償だけでなく、精神的苦痛を理由に慰謝料を求められることもあります。
処分が認められる例外ケース
とはいえ、以下のようなケースでは処分できる可能性があります。
- 元配偶者が明確に「いらない」と意思表示をしている場合
- 荷物が6ヶ月〜1年以上放置されており、引取りの意思が見られない場合
- 家庭裁判所や弁護士を通して、処分に関する同意・許可が得られた場合
ただし、「もう半年以上連絡取ってないからいらないだろう」と自己判断で処分するのはNGです。
必ず書面での通知・記録を残すことが大切です。
家を売りたいのに、荷物がネックに…
残された荷物があると、不動産の売却にも大きく影響します。
なぜなら、買主は「空き家」状態で引き渡されることを前提に購入を検討するからです。
残置物がある家は売れにくい
- 見た目の印象が悪く、内見でマイナス評価
- 処分費用が買主の負担になる場合、価格交渉で不利に
- 「トラブル物件」として不信感を与える
特に、家財道具がそのままの状態だと「心理的瑕疵(いわくつき物件)」と誤解されることもあり、売却価格が大幅に下がるリスクもあります。
スムーズな売却のための対応ステップ
- まずは元配偶者に荷物の引き取りを通知(できれば配達証明付き内容証明)
- 期日までに引取りがない場合、弁護士に相談
- それでも対応がない場合は、家庭裁判所に「残置物処分許可」申立てを検討
弁護士を通じた通知は、心理的にも「本気度」が伝わりやすく、トラブル防止に効果的です。
共有名義の不動産は勝手に売れない
もしその家が共有名義(たとえば「夫婦で2分の1ずつの持分」)だった場合は、相手の同意がなければ売却できません。
このようなケースでは、名義の整理(名義変更や持分買取)をしてからでないと、家の処分・売却が進められないので注意が必要です。
詳しくはこちらをご覧ください
どうしても荷物を処分したい場合の手順
元配偶者から連絡がない、あるいは引き取りに応じない場合は、「手続きに沿って処分する」ことが大切です。
おすすめの流れは以下のとおり:
- 内容証明で正式な引き取り依頼(引取り期限を明記)
- 期限後も引取りなし→弁護士に相談
- 家庭裁判所に申し立て(財産分与の一環・処分許可)
- 許可後、専門業者に依頼して安全に処分
残置物の扱いを誤ると法的責任を問われるため、自己判断で捨てるのは絶対NGです。
専門家に相談するという選択肢
離婚後の不動産処分や荷物の問題は、感情的な要素も絡むため、自力での解決が難しいことも多いです。
そのようなときは、無料相談窓口や、経験豊富な弁護士・不動産専門家に相談することで、最も安全で早い解決ルートを見つけられます。
まとめ:荷物の処分・家の売却は慎重に
- 荷物の勝手な処分は法的トラブルの原因に
- 不動産売却時は「空き家状態」が基本。残置物があるとマイナス
- 弁護士・家庭裁判所を通じた手続きが安心
- 共有名義の場合は、売却前に名義整理が必要
「まだ置いたままの荷物がある…」
そんな悩みを抱えている方は、まずは焦らず、正しいステップで対応していくことが大切です。
何から始めればいいか分からないときは、ソレイユにお気軽にご相談ください。